シークレットベビー～初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で～

「救命の医局長の渚先生とご結婚されたんですね」

慧斗さんはソファの腰を下ろして、お姉ちゃんと話をする。

「パパ…えほんよんで」

パパとずっと欲しがっていた理沙は早速お気に入りの絵本を慧斗さんに渡した。

「あ、いいけど…上手く読めるかな？」
お姉ちゃんは私の居るキッチンに入って来た。

「もう馴染んじゃってるじゃない…」

キッチンカウンター越しに私とお姉ちゃんは出来立てホヤホヤの親子二人を見つめた。


「私達、どうして理沙が居たのに、離婚したの？」

「それは慧斗さんに訊きなさい」

「そう言われても…」

私は慧斗さんをジッと見ていると彼が私の方を見た。

そして、優しく微笑む。
その彼の笑みにドキッと鼓動が高鳴り、顔に熱が帯びた。
「パパ、よそ見しちゃダメだよ」
「はいはい」