シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
元妻の幸福

~慧斗side~

久しぶりに食べた弥紗の手料理。

俺は嬉しかった。

麻布の自宅マンションに戻り、早速弥紗から貰った糠漬けのキュウリのタッパーを冷蔵庫に入れた。
彼女の幸福を願い、離婚したのに。
彼女は俺の子を産んでいた。

ドバイに赴任した俺の仕事は海外赴任でドバイに来た日本人たち向けに不動産仲介業。
日系不動産企業としては我が社が初だった。

大いに注目を浴び、事業が軌道に乗りかけた中。
コロナと言う新型ウィルスが世界で大流行した。
ドバイも厳戒態勢を敷き、都市封鎖。
一時期は人気のないゴーストタウンとなった。

ドバイの地で一番に気に掛けたのは元妻・弥紗


彼女はどうしているだろう。

彼女にまた…

会いたい。

世界がこんな風になるんだったら、彼女とは離婚するんじゃなかった。
俺もコロナに感染。
幸い、軽症だったが、完治しても半年ぐらいは味覚障害を残り、味が分からなくなった。


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