シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
俺は視察しているだけなのに、参加者の女性たちが頻繁に声を掛けて、アプローチを仕掛けて来る。

俺が見ている女性は元妻の弥紗だけ。

他の女性には目も暮れていないのに、鬱陶しい。

俺はチャンスを伺い、弥紗に近づいたが、彼女は一人の男性と話をしていた。

時折、笑みを浮かべ男性と話す弥紗。

何、俺以外の男と笑って話をしているんだ。
君の声も笑みも全て、俺のモノだったはず。

俺は嫉妬して、二人の間に割り込んだ。

相手の男性は弥紗が勤める『清友会総合病院』も事務長…上司だった。

「支社長」

伊澤が俺の腕を掴んだ。

「おいっ!?」
そして、伊澤の手によって会場の外に出されてしまった。

「何をするんだ?」

「折角、お二人は意気投合して、いい雰囲気になってるのに、邪魔をしてどうすんですか?支社長」

「・・・彼女は俺の元妻なんだ…」

「知ってますよ。支社長が見せてくれた元妻の弥紗さんですよね」

「そうだ」

「未練あるんですか?」

「あるさ。嫌いで離婚したワケじゃないからな」

「じゃどうして離婚したんですか?」

「それは彼女の幸福を願って…だ」



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