シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
「君が彼の事だけ忘れたのは、最初からやり直したいから…そう思って忘れたんじゃないのか?」

事務長の言葉が私の心に突き刺さった。

「君と桑原さんは色々とあって離婚した。でも、君は理沙ちゃんを産んだ。普通、嫌いになった男の子は産まないだろ?」

彼はカウンターの脇にあるパンフレットのラックを整理しながら、私に問いかけた。

今は外来診察の時間外、ロビーは閑散としている。

「リセットと言った方がいいかな?」

「リセット…」

私も事務長の言った言葉を呟いた。


「君が居ない所で、彼と話をしたんだ。彼も君が嫌いで離婚したんじゃないらしいな…」

「事務長…私…」

「俺の事は気にするなと言っただろ?神崎」

「すいません」

「動物園、楽しみだな…」

「はい」

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