シークレットベビー~初めまして、愛している。記憶喪失からはじまる二度目の結婚生活は三人で~
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日曜日。
上野動物園。

家族三人で行くはずが、伊集院先生ファミリーも一緒に行く羽目になった。

「初めまして、妻の莉子(リコ)です」
「初めまして、桑原慧斗です」

「息子の和志(カズシ)と娘の咲(サキ)だ」

「後ね猫も一杯居るんだ。ねぇ―パパ」

「まぁな」

「へぇー伊集院先生って猫飼っているんですか?」

「まぁな。桑原さんは猫スキ?」

「猫よりも犬がスキです」

「犬派か…」

院内では何だか険悪の雰囲気の二人だったけど、プライベートで家族ぐるみで会えば、とても仲よさそうに見えた。

「ほら、行くぞ。皆」
伊集院先生が先導する。
「はーい」
と理沙と咲ちゃんは素直に返事してついて行った。


「りさちゃん、おててつなごう」

「うん」

咲ちゃんは幼稚園に通園していて、滅多に会わない理沙のお友達。

理沙と同い年で、由紀ちゃんとも仲が良かった。

「ゆきちゃんも来ればよかったのにね」
「そうだね…ゆきちゃんにおみやげかってあげようか?」
「それいい」

「何だか、理沙、咲ちゃんと仲いいな」

「だって、前からお友達だもん」

「そっか、理沙には沢山お友達居るんだな。安心した」



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