苦手な彼は私の王子様
「あれ。先生不在か」

1人で泣きながら保健室の椅子に腰掛ける。

「おい。お前なんで逃げんだよ」

扉の前で息を整える恋が見えた。

「どっどうしたの?私はちょっと」

涙ながらに応える私の目の前に恋が来るのが見えた。

「なんで泣いてんだよ。言えよ」

最悪だ。復帰初日にこれとか終わった。

「別に、ただ私がいない間に恋に彼女がいたんだなと思って」

「はっ?」

冷たく吐き捨てあきらかにこっちを睨んでいる。

「さっさっきの佳奈って子、、、」

今にも消え入りそうな私の声を無視するかのように恋が私を抱き寄せた。

「佳奈は彼女じゃない。幼なじみだ」

「そっそっか。可愛い幼なじみなんだね」

もうダメだ。

どうにかなってしまいそうな私の胸に恋が手を当てる。
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