一期一会。−2−
暗闇の中、俺は尋ねた。

怖いもの知らずだと思われるかもしれないが、怖さよりも好奇心が上回ってしまった結果だ。

知りたくて、しょうがない。

言葉を失っている有功が、固唾を呑んで見守っている。

下手したら、殺られるかもしれない。

そんな緊迫した空気にも、負けない。

…なぁ、教えてくれよ。

そいつは、依然としてポケットに入れた手を出さないまま、尊大に言った。

「この格好みても、気づかないわけ?」

偉そうに、心底見下した言い方。

男の声だった。

中性っぽいその声は、地声というよりは変形しているようだ。

…この、格好?

よく目を凝らして見ると、藍色のパーカーを着ていることがわかった。

一瞬で、戦慄が走る。

『…き、ちょうなのか?』

「えっ!?」

夜の街に降り立つ蝶。
 
正体不明の、最強伝説。

まさか、…ここまでとはな。

呆然と呟くと有功は、カッと目を見開いてフードの奴を注視していた。



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