一期一会。−2−
…彩羽、なのか?

雰囲気が、昼間とまるで違う。

どこにも、少女らしい面影がない。

凛々しく、プライドに満ちた姿に感心すらしてしまう。

いや…気付かないわ、これ。

“王蝶”こと、彩羽は、コテンと首を傾げて
言った。

「そうだよ、僕が“王蝶”」

初めまして、と白々しく付け足す。

いや、この姿での対面は初めてだから、嘘ではないのか。

僕…か。

役までしっかり作ってんのな。

“王蝶”は、男というイメージが広まっていたが、変装とボイスチェンジャーの効果か。

バレないように小細工してたらしい。

隣りにいた有功は、いつの間にか“王蝶”の
目前に走って行ってしまっていた。

…は?何してんの、アイツ。


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