一期一会。−2−
「“王蝶”様…っ!

 ずっと、お会いしたく存じておりました!

 貴方の強さに憧れ、尊敬しております!

 ぜひ、俺を下僕にしてください!」

プライドを捨て去っている。

おいおい、いきなり何言ってんの?

ズサッとスライディング土下座をして頼み込む有功に、“王蝶”は後退りをしていた。

そりゃ、引くわ。

有功は、夢に見た“王蝶”との遭遇に浮かれ頭のネジを飛ばしていた。

そして、“王蝶”の淡々とした応答。

「嫌なんだけど。

 僕は下僕を作るつもりは毛頭ない。

 それに、僕より弱い奴なんて足手まといなだけだから要らないよ」

「ぐはっ!」

『…』

随分ダイレクトに言うんだな、こいつ。

喧嘩の腕だけでなく、口まで強いのか。

ボコボコにするとは聞いていたけど、有功もある意味でフルボッコにされている。

トラウマレベルでは?

俺も何気に流れ弾当たってるしな。

地面に倒れて打ちひしがれる有功に同情した。

馬鹿が…こういう時に真面目発動させろよ。



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