一期一会。−2−
“王蝶”の毒舌っぷりが想像を超えてえぐい。

彩羽と本当に同一人物なのか?

人格を疑うぞ。

「…ま、由宇くらい強いならいいけど。

 互角かもしれないし」

さらっと言った“王蝶”に、俺は目を見開く。

…彩羽だ。

はっきりと、由宇と口にしたことで有功が反応する。

「由宇…っ!どういうことですか!」

ズイッと迫ってくる有功こ目は血走っている。

嫉妬かよ…、怖。

どういうことも何も。

出会って好きになった女が、“王蝶”だったっていう話。

説明のしようもなく、頭をかいていたら、
“王蝶”はヒラリとパーカーを翻して、俺の近くに立つ。

その動きは、蝶に似ていた。

詰め寄ってきていた有功は、固まる。

“王蝶”は、俺と有功を見比べて言う。

「由宇は、この人と友達?」

『…あぁ、赤城のナンバー2だよ』

「へぇ」

男の声の彩羽と話すなんて不思議な感覚だ。



< 104 / 244 >

この作品をシェア

pagetop