一期一会。−２−

「有功と呼んでください！」

『…んー、通り名は？』

「響香です！」

メンタルを破壊されたはずなのに、ここぞとばかりに食らいつく有功。

執着心が怖すぎる。

どんだけ好きなんだよ。

『…響香、ね。

　りょーかい』

“王蝶”は、適当にあしらっていた。

…通り名で呼ぶのかよ。

有功は、感激して泣きそうになっている。

「ありがとうございます！！」と何度も頭を下げていて。

いや…うん、俺はついていけねぇわ。

「…由宇は、喧嘩？」

『まぁな、“王蝶”は？』

名前で呼ぶのは良くないか、と察して通り名で聞いたら、若干嬉しそうな声が返ってきた。

「由宇はよく分かってるね。

　…僕は、依頼を受けて制裁してただけ」

『…依頼？…あぁ、なるほど』

日下、壮太からか。

依頼にしては、倒れてる男の数が尋常じゃないように思えるが。