一期一会。−2−

8【守りたい・前編】和side




ー…人生において、全てが虚無で退屈だった。

どこまでも希望の見えない、暗闇にいた。

唯一の救いは、白樺頼人が親友でいてくれたこと。

高校に入るまでは、一生、古立組に支配されて、堕ちていくだけだと思っていた。

生まれながらに施設育ちだった俺は、勉強も運動も人以上にできたことで古立組に引き取られ、若頭にまで登り詰めた。

捨てた親が、どんな顔かは知らない。

別に、今更どうでもいいことだけど、たまに想像してしまう。

ー「和、ウチにおいで」

古立組に引き入れてくれた、希月には頭が上がらない。

希月からは、組のことも、それ以外のことも教わった。

暗闇の中にいる俺を、支えてくれる存在のおかけで、生きていられるのだと思う。

…本当に、クズになりかけてる俺に、頼人といい、奥薗彩羽は平気な顔して関わってこれるんだか。

ー「和」

なんで、笑いかけてくれるんだ。

昔から、学校でも一目置かれ、誰かに好意で迫られることは無かった。

いつも、家柄とかブランド目当てだった。



< 114 / 244 >

この作品をシェア

pagetop