一期一会。−2−
8【守りたい・前編】和side
ー…人生において、全てが虚無で退屈だった。
どこまでも希望の見えない、暗闇にいた。
唯一の救いは、白樺頼人が親友でいてくれたこと。
高校に入るまでは、一生、古立組に支配されて、堕ちていくだけだと思っていた。
生まれながらに施設育ちだった俺は、勉強も運動も人以上にできたことで古立組に引き取られ、若頭にまで登り詰めた。
捨てた親が、どんな顔かは知らない。
別に、今更どうでもいいことだけど、たまに想像してしまう。
ー「和、ウチにおいで」
古立組に引き入れてくれた、希月には頭が上がらない。
希月からは、組のことも、それ以外のことも教わった。
暗闇の中にいる俺を、支えてくれる存在のおかけで、生きていられるのだと思う。
…本当に、クズになりかけてる俺に、頼人といい、奥薗彩羽は平気な顔して関わってこれるんだか。
ー「和」
なんで、笑いかけてくれるんだ。
昔から、学校でも一目置かれ、誰かに好意で迫られることは無かった。
いつも、家柄とかブランド目当てだった。