一期一会。−2−
こんな時に思い出すのは、頼人との出会い。
ー「君、お名前なんていうの?」
小学生の時、一人で階段にいた俺に同級生であり、学年の人気者だった白樺頼人が話しかけてきた。
億劫でも、気まずそうでもなく。
当時の俺からしたら、眩しいほどの笑顔で
近づいてきたソイツ。
完全に、別世界の人間だと思っていた。
俺が闇の世界に生きているのだとしたら、コイツは光の世界の住人。
ひねくれていた俺は、結局、質問を無視して聞こえなかったことにした。
ー「ねぇ、俺、白樺頼人っていうんだ!
仲良くしてほしい!」
冷たい俺に、頼人はめげずに話しかけてきた。
どんなに毒を吐いても、逃げても、頼人は変わらず優しく接してくれた。
無視しても、無視しても、追いかけてくる人影。
暫く、そんな日々が続いた。
俺は、帰り道で、とうとう頼人の言葉に反応した。
ー「ねぇねぇ、和…」
名前で呼んでいいなんて言ってもないのに。
なんで、当たり前みたいに呼ぶんだよ。