一期一会。−2−
「久しぶりだね」

『…何か、用ですか?』

先輩だから、一応敬語を遣った。

偉いでしょ?褒めて、ソウ君。

世間話を、ぶった切って単刀直入に聞く。

この人と、個人として話すことは何もない。

“生徒会”から言われることは、分かりきったことだ。

「…冷たいなぁ、用件は一つだよ」

バチバチと目線だけで対立しながら、私は毅然と見返す。

「…古立和に、近づかない方がいい」

…想定した通りだ。

蔑むような瞳で私を通し、和を見ていた。

…言うと思ってたけど、改めて、馬鹿だな、コイツらは。

反吐が出そう。

和は闇堕ちした組の若頭だよ。

でも、それの何が悪いっていうの?

…確か、生徒会って、金持ちでお偉いさんの娘や息子が集まってるんだっけ。

親に甘やかされ、その権力を笠に着て、弱い立場を咎める組織。

間違った正義感を貫く愚かな人達。

…和は、きっと、アンタらみたいな甘い世界で生きてこなかったと思うよ。



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