一期一会。−2−
私の分まで支払ってくれたソウ君は、早足でカフェを去っていった。

次、会えるの何時かなぁ。

去っていく際に、ソウ君はポケットから何かをヒラリと落としていった。

ソレに気付いて、拾いあげた。

…一枚の、写真?

何気なく目を落として、すぐに見開いた。

…こ、れは。

………嘘、でしょ?

どうして、ソウ君が…これを?

その写真の中で、小さな女の子と、小学生くらいの男の子が微笑んでいて。

衝撃で、何も考えられなくなりそうだった。

『…お兄ちゃんと、私?』

顔を見て、一目で分かった。

ソウ君といるときに感じた妙な気持ち。

その正体に、やっと気付いた。

ー…久々に見た、その写真は…私が施設に入る前にお兄ちゃんと二人で撮った、最初で最後のツーショット。




ー「彩羽、こっちおいで」

ー『なぁに、お兄ちゃん』

ー「写真撮ろうか」

ー『撮るーっ!』

自分の膝をポンポンと叩いて、私に呼びかけるお兄ちゃん。


< 132 / 244 >

この作品をシェア

pagetop