一期一会。−2−
幼い頃の私は、兄によく写真を撮られていて。

今ではありえないけど、兄の写真撮影は嫌いじゃなかった。

喜んで色んなポーズをしていたあの頃の自分が今じゃ黒歴史である。

写真を撮ると聞いて、弾みながら兄の膝に座ると、微笑む兄を見上げた。

お兄ちゃんは、カメラを私と自分に向けた。

あ、二人で撮るんだ。

お兄ちゃんは、何でか少し、切なそうな顔をして、その後シャッターを切った。

パシャリ、撮られてカメラから現像された写真が出てくる。

二人で、ソレを見ながら笑った。

お兄ちゃんは、ソレを大切そうに、手に持っていたー…。




そんな、思い出の一枚。

ソレを、ソウ君が持っているということは。  

…ソウ君…が、お兄、ちゃん?

信じられない、信じたくない、信じきれない。

突然のことに、頭の中の情報が洪水を起こす。

グワンと視界が揺れて、ふらつく。

私の知っているお兄ちゃんは、ソウ君みたいな人じゃない。



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