一期一会。−2−



ー「わかった、俺がお前の師匠になって
  やる」



…関係性を聞かれて、気まずそうだったのは、そういうこと?

どうして、お兄ちゃんは…私に黙っていたの?

私…っ、ずっと、ただ、ずっとお兄ちゃんのことを追いかけてきたのに。

酷いよ、ズルいよ。

隠さないで、教えてよ…。

…遅いんだよ、ソウ君。

もっと早く言ってよぉ、バカ。

ボロ泣きしだす私に亮さんは、オロオロと右往左往。

何も、耳に入らなかった。

写真を、目に入れて、唯、泣き続けた。

亮さんは、大急ぎで何処かへ連絡を取っていた。

しばらく、涙が止まらなかった。

「彩羽っ!」

「だ、大丈夫?」

「どうしたんだよ」

ドタバタとカフェに駆け込んできたのは、葵と時雨と由宇。

私は、写真の端をギュッと握りしめて、必死に何かを言おうとするけど。

言葉が、出てこない。



< 135 / 244 >

この作品をシェア

pagetop