一期一会。−2−
『…お、にいちゃん…が』

辛うじて、絞り出したのがそれだけ。

こんなんで伝わるわけ無いじゃん私のバカ…。

皆は私の過去知らないわけだし。

ひっく、としゃくりあげる私を由宇が抱きしめてくる。

「…気付いたんだな」

その目は、写真の中の二人を悲しげに見下げていた。

…由宇は、知ってたの?

どう、して…。

「どういうこと…?」

「お兄ちゃんって…」

困惑する葵と由宇に、由宇は一つ深呼吸をして言った。

「…日下壮太は、昔、彩羽を捨てた実の兄だったんだよ」

残酷な、真実だった。

由宇の口から聞くと、ソレが事実だって思える気がした。

ー…日下壮太は、私の、たった一人のお兄ちゃん。

「…彩羽を、捨てた?」

「兄って…本気か」

「その写真、お前と日下さんだろ?」

『…っ、うん』

頷きながら、また涙が溢れる。

ずっと、ソウ君が“お兄ちゃん”だったら良かったのにって思ってた。

…だからこそ、尚更、驚いた。



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