一期一会。−2−
「彩羽。

 彩羽の味方は沢山いるからね。

 …もし、壮太さんと何かあっても大丈夫だよ。」

『…葵』

「いつもみたいに堂々としてなよ。

 泣いて終わるだけの女の子じゃ、ないでしょ?」

『…時雨』

そうだ、泣いてる場合じゃない。

泣いて終わるのは、ソウ君と出会う前の私までだと決めたはずだ。

まだ、ここで終わるわけにはいかないでしょ。

…それにしても、ソウ君は、ズルい。

お兄ちゃんを見返すのも、ソウ君の役に立つのも、結局一つの道じゃん。

私がしてること、してきたこと全部、お兄ちゃんの為ってことじゃん。

……私、ブラコン過ぎない?超不服。

手持ちのハンカチで涙を拭き去った。

すーはー、と息を整えまして、平静に戻る。

皆から言葉を貰って、ようやく頑張れそう。

パチン、と頬を叩いて、気合を入れた後、顔を上げる。

負けるな、逃げずに向き合え…私。



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