一期一会。−2−

自分の気に食わないもの、不快なもの、都合が悪いものは、恐らく全て消し去るのだろう。

めちゃくちゃに壊して、それを間違いだと思わない。

「…彩羽、頼人。

 今日はもう帰れ」

私達を庇うように手を突き出して、和は表情無く言う。

「…帰るよ、彩羽」

『…っ』

本当は、和を置いて行きたくなかった。

だって、そのスーツ男は和を共に地獄へ連れて行こうとしている。

和を救うのが、私の役目なのに。

スーツ男はその銃口を上げようとしていて。

焦点が絞られつつあるのを見て、計画は失敗だと悟る。

今の、この状況では私は足手まといにしかならない。

ー…後ろ髪を引かれる思いで、私は足を動かした。



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