一期一会。−2−
11【運命】:和side
「和、まだ堅気とつるんでるの?」
『…別にいいだろ』
希月が運転する車に揺られ、窓の外を眺める。
口の中には、まだ甘い飴の味が残っている気がした。
既に終わった夏祭りの余韻に浸る。
車のミラー越しに此方を見てくる希月の視線を流す。
ー「…私、“王蝶”なんだよ」
…まさか、あそこで現れるとはな。
彩羽は、“王蝶”。
この街で最強と謳われる存在。
流石に、予想はできなかった。
一緒に居たいと言ってくれた彼女は、強くて凛々しくて。
それじゃ、“離れてくれ”なんて、言えるわけねぇよ。
ボーッとしている俺に希月は重く溜息をついた。
「…しっかりしてよ?
もうすぐ日下組と抗争になるんだから」
ハンドルを切りながら、ぼやく。
…抗争、か。
日下組と古立組がぶつかる組同士の争い。
…正直、勝ち目なんてないと思っている。
どんなに汚い手を使おうが、あの日下壮太には敵う気がしない。