一期一会。−2−
…それだけに、覚悟が要る。

一抹の不安が過ぎり、表情が強張る。

そんな私に、由宇は力強く言った。

「大丈夫だ、彩羽。

 まっすぐ、前を向いていよう」

『…由宇』

「もしも彩羽様が危ない時は駆けつけますので、何時でも俺をお呼び下さい!」

『…響香』

そこは、有功と呼んで下さいよ…、となんか言ってたけど無視。

「ま、大切なお姫様に手出しはさせないよ」

ね、と刻に話しかけている時雨。

刻は、パソコンを操作する手を止めずに、言う。

「…“王蝶”とあらば、ね。

 時雨のことも叩き直してくれたし」

『…あ、そういうこと』

見ず知らずの私に協力してくれた理由はそれだったのか。

…って、私の正体バレちゃってるし。

状況としては、不味いけど。

…まぁ、いっか、味方なら。

それにしても、時雨を更生させたからといって、見返りが大きすぎるのでは?

皆、良い人達すぎだ。



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