一期一会。−2−
1【最悪】
寒くて、凍えるような冬を越し、
春めく季節。
桜が咲き乱れ、花弁を散らす。
今日は天気も良くて、青空だった。
「彩羽ぁあ、入学式行けなくて
ごめんなぁあ!」
『もー、ソウ君、大丈夫だよ』
電話の向こうで土下座でもしてそうな
くらい申し訳無さそう。
そう、今日は記念すべき、私、奥薗彩羽の
高校の入学式なのだ。
まぁ、できれば、ソウ君にも晴れ姿見てほしかったけど。
ソウ君は、私には内緒にしているけど、
この街[美郷]を拠点とするNO1の強さを誇る日下組の若頭なの。
私を拾ってくれて、最強伝説“王蝶”にまで
鍛え上げてくれた恩師。
超かっこいいんだからね!
最近、忙しさに拍車がかかっているらしく
私の入学式に来れないことを残念がり、
何度も謝ってくれた。
「ごめんなぁああ!」
(※スピーカーなしで声量MAXです)
全くもう、私高校生なんだからね?
いつまでも、ソウ君いないと駄目症候群を
拗らせていられないよ。