一期一会。−2−
壊れたロボットみたいに、何度も何度も謝ってくる古立和に、俺は呆然としながらも、「頭上げろ」と声をかけていた。

確かに、彩羽は、古立和を庇った。

怪我を負い、病院へ運ばれていった。

…でも、それは、彩羽なりのけじめの付け方だったわけで。

全て覚悟の上で、組の抗争に入ってきたんだ。

…だったら、古立和の方が被害者みたいなもんだろ。

「…謝んな。

 彩羽が起きたら、ありがとうって言ってやれ」

組の屋敷にまで乗り込んで成し遂げたかったこと。

ソレを、彩羽はやり抜いた。

たとえ、自分自身が傷ついても、古立和を救い出すために。

…そんな、彩羽に伝えられることは、感謝と説教くらいだ。

まぁ、兄であることを隠して、彩羽を騙していた俺には、責める権利なんてないんだが。

古立和の頭をガシガシ撫でてやると、泣きながら、
 

「…ありがとう、ございます」


と呟いていた。



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