一期一会。−2−

そして、全てが終わった後。



俺は、ぼんやりと、半生を振り返っていた。



彩羽と、俺は、仲のいい兄妹だった。



それを、壊したのは、俺だった…。



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小学生の頃、妹の彩羽が生まれた。

俺と彩羽の家庭は、稀に見る破綻した状態だった。

両親は、表面上いい家族を演じていたが、陰では暴力や暴言の雨を降らせていた。

俺は、丈夫な方だったから、殴られても死にはしないものの、幼い彩羽は命の危機に瀕することがあった。

その命の灯火を絶やさないように、俺は喧嘩に強くなった。

ー「アンタ達なんか生むんじゃなかったわ!」

ー「口外したら殺すからな」

容赦のない言葉の刃が、俺にも彩羽にも及んだ。

まだ、子どもだった俺達は、耐えるしかなくて。

…だけど、大きくなるにつれて、被害は増していく一方だった。

ー『彩羽っ!』

ー「うわぁああん!」



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