一期一会。−2−
この嘘が、バレないようにしていたー…。



彩羽と出会い、守るものが増えた俺に好機が訪れた。

当時、喧嘩に長けていた俺の腕を見込んで、日下組のトップから声をかけられたのだ。

養子にさせて貰えないか、と直々に頼まれて驚いた。


ー…俺に、そんな力があるのか?


不安があって、自信なんてなかった。

でも、彩羽を強くすると決断したとき、俺は守るための力を持たなければならないと強く思った。



…だから。



家を捨てて、“日下壮太”になろうと決心したんだ。

彩羽とは、“兄”ではなく、“師”として接しよう、と。




ー…家族として想うのは心の中だけにした。




大好きな彩羽。
 


世界で、誰よりも、大切な…妹。








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