一期一会。−2−
15【続く限り】
ー…朝日の眩しさに、自然と目が覚めた。
病院特有の消毒の香りが、鼻を抜けていく。
『…ん』
「彩羽っ!?起きたの!?」
起きた瞬間、目の前に葵のドアップ。
寝起きでイケメンは、心臓に悪いかな。
『…へ、あ、…葵?』
混乱状態に陥るのも無理ない。
「彩羽が目ぇ覚ましたぞ!」
「ナースコール!!」
目を覚まして早々、騒がしかった。
葵だけでなく、他にも人が沢山いたらしい。
周りの慌て具合に、私はスンとなっていた。
あれ、私…撃たれたんだっけ?
抗争に、和を助けに行って、希月さんに撃たれて…それで、お兄ちゃんが来て…。
ぼんやりとした頭じゃ、あまりまとまらず。
だけど。
ー「彩羽」
ソウ君の声だけが鮮明に頭に残っていて、葵と繋がれた手を緩く握って、葵に尋ねる。
『ソウ君は…?』
「仕事だよ、多分もうすぐ来ると思う」
葵は、反対の手で私の頭を撫でて柔らかく微笑んだ。
それを聞いて、無事に抗争は終わったのだと理解し、安心した。
…そっか、仕事…、若頭だもんね。