一期一会。−2−
多分、寝顔見られたとか、ほっぺ触られたとか、不覚の事態に照れてるんだろうな、とか内心思いながらも見守りに徹する。
二人の距離の近さは邪魔したくなるけど、
ここで止めたり巻き込まれたら、面倒くさそうだから。
「…彩羽、お前…何してんの?」
グイッと彩羽の手を引き自分の方へ寄せて、意地悪く笑う和は見事なSっぷりだ。
あー、オレは何も見てない。
「あっはは…おはよー、和」
笑って誤魔化そうとする彩羽を逃さず、和はニコともニヤともとれる悪魔的な笑みを浮かべた。
「俺の寝てる隙を襲うなんて、覚悟はできてるんだろうな?」
うん、これは完全に彩羽の自業自得。
にしても和も大概嫌そうなのに、この光景は戯れているようにしか見えないのが不思議だ。
「頼人ぉおお!助けてぇえ!」
ガッチリ和にホールドされながら、オレの方へ手を伸ばしてくる彩羽。
オレは笑って親指を立てた。
『グッド・ラック』
嫉妬やらでちょっと悔しいから今日は敢えて助けてあげない。
そしてその数秒後、彩羽は和にコショコショの刑に処されていた。