一期一会。−2−
…でも、そっか、私、今日から黄鳥高校の
生徒になるんだ。
ソウ君に触れられてようやく、そのことを
理解できた。
ソウ君の壮大な泣き声をBGMに、しみじみ
実感した。
つい、一ヶ月前までは中学生だったのに。
今やっと、新生活が始まる気配がしてきた。
「おめでどぉお!彩羽ぁあ!」
鼓膜ブレイカーか!
待って、スピーカー押してないんだけど。
「…うるさいっすよ、壮太さん」
ソウ君側から別の人の声が聞こえた。
煩すぎる…てか怒られてるし。
割りとガチ目にキレられてますけど…。
号泣して叫ぶソウ君に、私はそっと耳からスマホを外した。
本気で困るんだけどなぁ。
さっきの声って、ソウ君の仕事仲間かな?
タメ口ってことは、幹部とか側近?
だいぶ呆れられてたけど。
「行ぎだがっだ〜」
おいおいと涙が止まらないソウ君。
大の大人で、しかも、組長がそんな
失態さらすなよ…。
心の中で辛辣なことを思った。
言ったら多分、自殺しそうだからやめて
おく。
そこまでの鬼じゃないよ。