一期一会。−2−
ー「和も友達いなさそうだし、
  気が合いそうだなって」


余計なことを付け足した彩羽を小突いたら
キョトンとしていた。

おい、今また失礼なこと考えてたろうが。

小言でも言ってやろうかと思ったけど、
無防備な彩羽の顔を見せたら言う気も失せた。

…まぁ、何があったにせよ、コイツに迷惑をかけたのは事実か。


ー「くっそ、古立和!覚えてろよ…っ!」


少なくとも、あれだけ叫んでたらな。

申し訳なくて謝ったら、彩羽はおろおろ
しだした。

ついでに休んでいたことと本当は式辞を
読みたかったことを告げたら、彩羽は
同情したような顔になっていた。


ー「いきなり責め立ててごめんね…?」


逆に気を遣わせてしまったらしい。

彩羽は、スマホで時間を確認していた。

…なんか、引っかかるんだよな。

この世界が嫌いか、と聞かれたときの
彩羽の顔に、正直怖くなった。

多分…俺たちは似ている。

本質的に、似たものを持っている。


< 45 / 244 >

この作品をシェア

pagetop