一期一会。−2−
“好きになれ”だと…っ!!

どこの少女漫画のセリフだよ。

私の前に座っていた和が、目を剥いて
親友をガン見。

いや、そうもなるわ。

私は、忽ち顔を真っ赤にして、わななく。

「ふっ、そんな反応されたら、
 たまんないね。

 もっと、俺のこと意識してみる?」

うわぁああ!?

ら、頼人がキャラ崩壊してるぅう!

いつもは、王子様みたいなのに。

優しくて、カッコよくて、良い子なのに。

今は、妖艶で意地悪な一人の男にしか
見えません!

笑顔が、笑顔が…妖しすぎる!

隠れサドなのかこの人!そうなのか!

私の心臓は壊れそうなほど、ドキドキ
していた。

何だこの甘酸っぱいシチュエーションは!

頼人の目は、私だけを捉えていて。

うっわ、…この子、小悪魔すぎ!

思わぬ展開になってしまった。

『…っ、冗談だよ!

 もうっ、からかわないで!』

ぷいっと赤い頬のまま、顔ごと逸したら
頼人は「そう…」と呟いて。


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