一期一会。−2−
時雨と由宇みたいなこと言ってるよ!?

思わず後ずさる私に、葵はクスッと妖しく
微笑む。

ー…完全に、油断していた。

音もなく、直ぐ側に迫っていた葵に、強く手を引かれて。

気が付けば、景色が180°反転していた。

…つまり、ここは。

ベッドの、上?

私を見下げる葵。

押し倒された…っ!?

『ちょっと、待ってよ』

冗談だよね、と言いかけて固まる。

葵が、私の頬に自分の手を添えたから。

「弱ってるからとか、熱だからとかじゃ
 ない。

 …俺は、本気だよ」

『…っ』

いや、いやいや。

熱がない葵はこんなことしないって。

狼に気を付けろよ、というソウ君の忠告の意味を理解した。

貫くような瞳に、囚われる。

「…彩羽は、俺のこと分かってなさすぎる。

どんだけ、彩羽のこと…“王蝶”のこと、
探したと思ってんの…っ?

…俺にとって、守りたい女の子は、
大切な女の子は、彩羽だけなんだよ…っ」

前の比じゃないくらい甘くて、とろけそうな優しい言葉の雨に打たれる。

あ、葵は私をキュン死させる気なのか…っ!?


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