一期一会。−2−
熱があるからって…、甘すぎない!?

糖度何パーセントなの、これ。

「…強がりで、意地っ張りで、
 黒いところもあって、毒舌で。

 でも、…優しくて、強かで、
 真っ直ぐで、…かわいい。

 俺は、そんな彩羽が…大好きだよ」

あぁ、ダメだ、死ぬ、死んでしまう。

まさかの葵の理性?が崩壊した。

頼みの綱のツッコミ担当が最早不在。

心臓の音がうるさくて、どうにかなってしまいそう。

優しく、温かく微笑む葵が…、どこまでも、輝いて見えて。

ゆっくりと、近付いてくる葵の顔に、
私は抗えなかった。




………抗いたく、なかった。




目を閉じて、全てが終わるのを待つ。

すると。

葵は、突然、電池が切れたロボットみたいにトサッと私の首元に倒れてきて。

『!?』

驚いて、目を開けたら、すやすやと眠っている葵の天使みたいな顔が目の前にあった。

高熱なくせに、相当無茶をしたらしい。

普通、ここで寝落ちする…?


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