一期一会。−2−
拍子抜けして、思わず笑ってしまった。

『…何なの…っ、ほんと』

笑いながら、泣いていた。

葵は、本当に、どうしてそんなに温かい言葉をくれるのー…?

今まで、これ程、熱のこもった愛の告白を
される日が来るとは夢にも思っていなかった。

これは、…ズルいよ。

私を、私以上に愛してくれる人がいるなんて。

過去に突き刺さったままの兄の言葉の棘が抜けていく。

それくらい、嬉しかった。

…やっと、気付いた感情。

…あぁ、私。

…私、葵のことが、好きなんだ。

自覚した瞬間、どうしようもなく胸が締めつれられた。

恋って、こんな感覚なんだ。




ー…最初の出会いは、最悪だった。

ゼロどころかマイナスの印象からのスタート。

こんな人、絶対好きにならないって、
思ってたのに。

…それなのに。

関わって、その優しさに触れて。

いつの間にか、惹かれていた。

葵と出会って、それから、皆とも出会えて。

絆というものを、愛情というものを
知った。

…葵は、私のこと、ずっと見てくれてたんだね。



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