一期一会。−2−
…全てが、終わったら。

それまでは、言えない…言わない。

ベッドの端に座ると、眠る葵の手を握って
その手を自分の額にピタリと当てる。

そして、囁くように、呟いた。

「…待っててね、葵」

約束は、ずっと有効。

たとえ、この世界が明日無くなってしまう
としても、変わらない。

だからね。

葵は、ほんの少し先の未来で、待ってて。







その日まで、貴方だけを想うからー…。







パチンと、葵の寝室の電気を消して、
もう一度だけ葵の方を振り返る。

『おやすみ』




私に、沢山のものをくれて、ありがとう。




私、頑張るからね。




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