一期一会。−2−
さりげなく、褒められてる気もするけど。

…まぁ、好きな子に頼られて嬉しくないはずはない。

でも。

…なるほど、そういうことね。

落ち着かない様子の彩羽ちゃんを見て、何となく察する。

…この子、恋する乙女だなぁ。

彩羽ちゃんは、確実に、葵が好きだ。

…だって、その表情は…俺じゃない誰かを想ってる。

はぁ…、やっぱり、あの見舞い、止めておくべきだったか。

「だめ…?」

ダメだなんて、言えるわけがない。

普通、好きな子には幸せになってほしいと
願うものだから。

…けど、可愛くなりたい理由が自分以外の男にあるのは…ちょっと許しがたい。

彼氏でもないのに、みっともなく嫉妬してしまう。
 
彩羽ちゃんを幸せにできるのは、
…俺じゃないのに。

…どうしても、俺だけを見てほしいって、
思ってしまう。

これは、我儘かな…?

素直に、応援してあげられなくて、ごめんね。


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