一期一会。−2−
「おー、似合ってるね」

拍手する時雨に、私は顔を赤くして言った。

『時雨…っ、何で私のサイズわかったの?』

まだ、言ってもないのに。

「え、目分量?」

殴りたくなった。

許されますよね?

私は、何も言わずにカーテンを閉めた。

やっぱり、時雨は女好きだ、さいってー。

試着が済んだ服は、何故か時雨がもれなく
買ってくれた。

『え、いや、悪いって!』

私が無理を言って付き合わせたのに。

「いいのいいの、奢られときな」

カードで、と店員さんに支払う時雨。

え、カード?

キャッシュレスなの?

金持ちのすることだ…ブルジョワか!

『これは貢ぎになるのでは…?』

「気にしなーい」

気にするわ!

支払い終わって、大きい袋を持って時雨は
店を出る。

置いてかれた私は慌てて後を追う。

私が頼んだ側なのに、逆にもてなされちゃってるよ?

この人、いつもこうやって女の子を甘やかしてるわけ?

人をダメにするソファならぬ、マシーンである。



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