一期一会。−2−
「彩羽ちゃんはどれがいい?」

時雨に声をかけられて、私もお店の前にやってくると、時雨はメニュー表を指差す。

私の分も頼もうとしてくれているの?

急に振られて、ワタワタしていたら、
「早く」と急かされた。

えと…いや、種類ありすぎない?

10種類って……。

『…チョコバナナ』

「了解。

 チョコバナナといちごクリーム下さい」

いちごクリーム…。

時雨も甘いもの好きなのかな?

だとしたら、葵と似ている。

幼馴染みって好きなものまで似るの?

クレープが作られる過程を、二人でじっくり眺める。

作っている側からしたら、怖いかもしれないけど。

生地が薄く伸ばされ、綺麗に焼き上げた後、盛り付けが施されていく。

あっという間に完成した焼き立てのクレープをもらった。

時雨は、私が料金を払おうとするのを目で制した。

…う、だって、…申し訳無いよ。

せめて、割り勘したっていいじゃん。




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