あんなに好きだったのに。


キスをするのはいつも俺からだ。



「…っん」



小春はいつも顔を真っ赤にさせていて、それが可愛かった。



「…ここ、教室だよ」

「誰もいないから大丈夫」

「でも……っん」




そんな顔で誘ってくる小春が悪いんだよ。

誰もいない教室で、俺は小春を独り占めする。



今まではキスなんてお飾りみたいなものだと思っていた。

別に何も感じないもの。

だけど小春とのキスは俺にとって何かが違った。



「授業さぼろっか」



俺はそう言って小春の腰に腕をまわす。

小春はとろんとした目を俺に向けて「それはダメ」と言ってまゆ毛を下げた。



小春はいつも授業をサボりたい俺を許してくれない。

でも俺に流されない小春が、また魅力的だった。


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