あんなに好きだったのに。


3年になって3ヶ月が過ぎた頃から、小春は俺といてもあまり笑わなくなった。

まあ付き合って半年もすれば慣れも出てくるし、こんなもんだろうと思っていた。

放課後、小春の教室へ行くと、小春はまた男子と喋っていた。

あまり俺に見せなくなったあの笑顔で。



「……っ」



大袈裟な音を立てて、クラスの扉を開く。



「あ、律稀くん。じゃあね、暖」



俺に気がついた小春は俺に駆け寄ってくる。

その姿に無性に腹が立った。



「ごめん俺、気分悪いから帰るわ」

「あ、そっか…」



自分でも大人気ないと思った。

でも、このイライラを隠せる程、俺は大人じゃない。





振り向くともうそこには小春はいなかった。



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