あんなに好きだったのに。
移動教室の前、誰もいなくなった教室で律稀くんは私にキスをする。
律稀くんはキスをするのが好きみたい。
「授業さぼろっか」
って言う律稀くんに流されてしまいそうになる。
このまま授業のことなんて忘れて、律稀くんに溺れていたい。
キスをするときだけは、私が律稀くんに求められているって実感できた。
別に私に笑わなくたっていい。
ただ、私から離れていかなければ、それだけでいいんだ。
私は自分の欲求をグッとこらえて、授業に出るように律稀くんを促した。
だって。
これ以上好きになったら、もう後戻りできないと思ったから。