貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!
「リリー,俺さ……」
「凛々彩,カイ。おはよう」
涼やかな声に,ぱっと振り向く。
こちらもまた,いつもはいないか寝ているの2択なのに……
「蘭華!」
手になにやら持って,庭に出てきていた。
「ごめんカイ。君までいるとは思わなかったから」
「俺はいいよ」
「中にあるから,朝食の時にでも良かったらどうぞ」
蘭華の視線が私を捉え,柔らかに笑んだ。
「デザートを作ったんだ。凛々彩,こう言うの好きでしょう? まだアンナには負けるけど」
その鮮やかな色は。
「タルト! 小さなタルトを作ったのね。でもちょっと待って,蘭華。この持ってるのだけ干しちゃいた……」
「こうすれば,平気でしょ?」
新鮮に色づくフルーツのタルトを,指で摘まんだ蘭華が私に向ける。
上目で確認しながら口を開くと,んむ,と押し込まれた。
じゅわりとブドウの実が潰れ,色々な果実の味と共に喉へ流れる。