貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!
カイが戻って来たのは,昼を過ぎてしまってからだった。
サムと謎解きをしていた私は,外から元気良く呼び掛けられて。
襖を開けてぎょっとする。
片手を頭の上でブンブンと振りながら,カイは塀の上にしゃがんでいた。
「カイ,危ないわよ!」
後ろから着いて出てきたサムが平気な顔で眺めているのを見るに,皆大したことないのかもしれないけど。
私はつい心配してしまう。
「いいから,来てよリリー」
仕方ないと呼ばれるままに寄る。
カイは振っていない方のその手に,大きな花束を持っていた。
「どうしたの? それ」
「リリーの店,閉まってたからさ。記憶に1番近い店から買ってきたんだ」
それを,どうするの? と。
カイの趣味ではなさそうなそれを眺める。
綺麗だと思った。
地面に咲いている花でもない,植わっている花でもない。
懐かしいと思える,綺麗に束になった花。
黄色に赤にと,カイみたいに明るい花束だ。