貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!
柔らかい目元を見て,私はようやく謝罪を口にする。



「大事なお墓なのに,勝手にごめんなさい」

「いいよ。一生懸命手を合わせているのを見てたから」



いつから見ていたの…

私は何も気付かなかった。

蘭華が私の隣に,目線を合わせるようにしゃがむ。

 

「何を祈っていたの」



蘭華のご両親に伝えたかった。



「あなたの,幸せ」



どうしても,蘭華の未来は蘭華の大事なお二人に祈りたかった。



「どうして?」




蘭華が目を丸くして,私はおかしなことを言ってしまったと気づく。



「こ,ここは! あなたの家だもの。本当にお墓なら,そんなこと出来るのは蘭華だけ。だったら,祈るなら蘭華のことだと思ったのよ」

「そう……ところで君,拐われている自覚ある?」



前回以上にだらだらしていると,報告でも受けたのだろう。

今も,自分で頼んだ着物を,これでもかと着こなしている。

蘭華は仕方ない子を見るように苦笑した。



「でも,守られてもいるわ。食事も豪華なくらいよ」



お礼だって言いたかったのに。

ずっと居なかったのだもの。

私は蘭華に,むっと言い返す。
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