貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!
「気付いてたんだ。でも保護だって言ったでしょ?」

「たった今拐ったと言ったくせに…そりゃあ,自分の部屋の前をバタバタされたら誰だって気付くに決まってるわ」



初めての頃は怖くて仕方なかったけど,それは私を守って戦っている音だ。

とっくの昔に慣れている。



「安心しなよ。ここにケンカ売る時点で君が居ようと居まいと返り討ちにするから」

「それは…少し怖いわ」



殺すんでしょう?

この家では隠しもしないその拳銃で。



「ふぅん? 拐われるより,僕らに守られる方が怖い?」

「そうじゃない。守って貰えるのは…とても嬉しい。でも,私のせいで人が無用に命を落とすのは嫌なの」

「そう……君は普通の子だったね,そう言えば。でも僕らはこうして生活を守ってる」

「それも分かってる。相手も殺す気で手を出してるんだもの。ただ,ただ…」

「はぁ…分かった。あれは本来君の敵だ。向かってくる人間には容赦しないけど,たまには手を抜くよ」



死んだ方が楽かもしれないけど。

不穏な言葉と共に,蘭華は落とした。



「ありがとう」



譲歩してくれた,の…よね?
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