貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!

信じてなんて都合のいいことだと分かってる。

でも今はそう言う他にない。

最悪,蘭華の顔すら見れないとしても。

あの最期の日には,合図のように大きな爆発があったことも憶えているから。

せめて初雪を確認できる窓さえあれば,どこに入れられたっていい。

蘭華,お願い。



「あと1年,あと1年でいいの。私をどこにもやらないで,このお屋敷に置いていて。その為ならどんな扱いも受ける,なんだってするわ」



11ヶ月なんて具体的に言えば怪しまれるに決まってる。

届いて,届いて。



「最初にくれた約束……」

「約束?」

「私のこと,ここにいる間は保護してくれるって……もう,いいわ。外は蘭華の判断だけど,中は違うでしょう? ここにいていいと言ってくれるなら……私のこと,屋敷の人にあげていい」



蘭華がいなかったら,きっと私はとっくに喰われてるんだって。

蘭華も私も理解してる、

蘭華が私の恋人を名乗るのは,最初の約束を,私を守るため。

こんなこと,言いたくないよ,蘭華。

私を抱くのは,もしかしたら前世の知り合いかもしれないんだから。

蘭華じゃ,ないんだから。

人間らしい恐怖に,唇が震え,涙が伝う。

それでも今じゃ無きゃだめかと,問いかけるように見つめれば。

蘭華は息を飲んで,無意識なのか,私の拘束を更に緩めた。



「凛々彩さん……それなら,俺が守ります。俺の人だって,俺が盾になるから。だからそんなこと,言わないで」



サム,ほんとに優しい。

ずっと私を抱き締めて,私達のやりとりを見守っていてくれた。

何も分からないはずなのに。



「蘭華さん……どうしても誰かに渡すなら,屋敷の色んな人じゃなくて。俺一人にくれたって同じことですよね」



せめて最悪から外そうなんて。

サムこそ好きでもない人なんて罰でしかないのに。



「…………はぁ。サム,勝手に話を進めるな。凛々彩から離れて」

「蘭華さん!」

「いいから,離れて。……殺さないから」



サムはその言葉にパッと表情を変えて,嬉しそうに私から離れた。

私……助かったの?
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