貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!

「その代わり,サム,お前が責任をもって凛々彩を監視しろ。今までの世間話みたいな報告はいらない。全て纏めて,毎晩僕のところにくるんだ」

「……はい!」



それで許されるなら,サムだって良心も緩まない。

これから1年,疑われ続けたとしても。

その1年間がきっと私を保証してくれるから。

私も,これ以上のことはない。



「……ぅッ」



ッっと声が漏れる。

安心した途端,手首がひどく痛んだ。

見ると掴まれた痕がくっきり残り,赤く染まっていた。



「凛々彩さ……」

「いいから,サム。それで,ここには何の報告で?」

「らっ……蘭華さんの代わりに南の土地へ向かった方が戻って来て……ベルトゥスさんの伝言があるそうです」

「分かった,直ぐに行くよ。サムはそれを伝えに戻って。流石に時間をかけすぎたからね。ラムにまで来られても面倒だ」

「でっでも」
  


蘭華が私の手を離して,感情の読めない瞳をしながらそっと包む。



「分からない? 僕が今行かないのは,手当てが残ってるから。サムには任せない……早く行け,これ以上命令に背くことは許さないよ」

「蘭華,私は……!」



自業自得なの,だから行っていい。

大丈夫だと紡ごうとした。



「君もだよ,凛々彩」



そう言われると,黙るしかない。

お願いしますと,諦めて力を抜く。



「これは僕が負わせた傷だから,僕が手当てをする。君を信じられるんけじゃないけど,僕はまだ約束を放棄していない」



分かった?

と首を傾けられ,私はこくこくと頷いた。

信用しないと言いながらも,そんな相手にそこまでの言葉をくれるのね……

蘭華の事は,2回目になろうと分からないことが多いけど。

でも結局は,いつも優しさを捨てないひと。

それだけは私も,今の蘭華を信じたい。



「サム,行って。ほんとにもう大丈夫。……庇ってくれてありがとね」



もう同じことになっても,しちゃだめよ。

それを今言う程ヤボじゃなくて。

私がそっと微笑めば,サムはほっとしたように笑って。



「失礼します」



そう頭を下げて,命令遂行のため駆けていった。


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