貴方の涙を拾うため,人生巻き戻って来ました!
猶予はあと半年もある。
だけどもし,私が知らなかっただけで,もっと早くに事が動いていたとしたら?
「心配しなくて良い。今度ベルトゥスと会う予定があって,それだけだよ。本当はもっと前に会いに行こうとしたんだけど,来んなって断られてね。代わりに情報交換のために人を渡してるの」
ベルトゥス。
その名前は知っていた。
「南の……」
「そう。重度の女好きで,それを理由に訪問を断るくらいの迷惑なやつだよ。危ないから,凛々彩も逢わないようにしてね」
蘭華とベルトゥス。
2人の関係が悪くないことは,島に生きる全ての人が知っている。
だけど,裏切りの可能性だって分からないんだから,私が注意しなくちゃと思った。
前世での接触はいつだったんだろう。
状況を見ると,前回も確かに同じやり取りがされたはずなんだ。
じゃあその,密会の内容は……?
重要な事柄の様に蘭華は話している。
そういった重要度の高いものは,教会はともかく,3区域全てのトップが集まるはずなのに……
西の土地のトップ,夜雅の名前が出ないのは,偶然なの……?
「凛々彩,ぼーっとしてると置いてっちゃうけど。それとも,その格好のまま行く? それでもいいよ? 僕が見えないようにずっと抱えててあげるから」