君の花嫁 ~シリーズ番外編 恋のライバルに宣戦布告されました!?~
昼休み、日葵ちゃんは伊織を迎えに来た。
「行ってくる」
「うん、行ってらっしゃい」
伊織に笑顔で手を振ると、面白くなさそうな顔で日葵ちゃんがこちらを見ていた。
伊織が来ると、パッと笑顔になる。
2人が並んでいると、凄く絵になるな。
胸がチクンと痛む。
伊織の隣にはああいった綺麗な子の方が相応しいのではないか……。
「あれ? 暗い顔してる」
「肇君」
笑顔で視界に入ってきたのは肇君だった。
「伊織が日葵ちゃんと歩いてたね。廊下がざわついてたよ」
「ミスコンの打ち合わせだって」
「で? ライバル出現に落ち込んでるの?」
なんで表情だけで、わかるんだろう。
「真琴ちゃん、顔に出やすいよ。伊織くらい鈍くないとわからないだろうけど」
「うぅ……」
顔を両手で押さえて隠す。
顔に出ちゃってたか。
「ミスコン優勝候補同士だから、一緒に歩くだけでも噂になるだろうね」
「えっ」
まさか、日葵ちゃん……、それがわかってて?
ハッとして俯く。
また胸にじんわり苦い気持ちが広がった。
「心配しなくても、伊織は浮気なんてしないよ」
「浮気!?」
「そんなフラフラした奴じゃないってことは真琴ちゃんが一番分かっているんじゃないの?」
「そう……だね」
浮気か……。
うん、伊織に限ってそんなことはしなさそう。
「伊織と上手く行っているんでしょう? 気にすることないって」
「ありがとう、肇君」
私は笑って、深々と頭を下げた。