君の花嫁 ~シリーズ番外編 恋のライバルに宣戦布告されました!?~
前日はみんな心浮かれ
ついに、文化祭前日になった。
今日は朝から全クラス、準備に追われている。
私のクラスも、教室のセッティングや最終確認に追われた。
部活で出し物をする人はもっと大変だな。
「あ、真琴ちゃん。これ味見してー」
飾りつけをしていると、調理班の子がクッキーを焼いて持ってきた。
それを一つ食べる。甘くてほんのり紅茶の味がしてとてもおいしい。
「美味しい!」
「ありがとう。これ持って、宣伝してくるね」
なるほど。お菓子を少しだけ配って、他のクラスに宣伝するのか。
なんだか、いよいよ明日って実感わいて来て楽しくなってきた。
「真琴、その飾り取って」
見あげると、伊織が脚立に上ってこちらを見下ろしている。
側にあった飾りを手渡すと、「ありがとう」と微笑んだ。
「ねぇ、伊織。明日の午後なんだけど……」
私と伊織の接客時間は午前中になっていた。午後は自由時間だ。
「あぁ、それなんだけど。15時からミスコンの結果発表があるから出ないといけないんだ」
「そっか、わかった。確か外でやるんだっけ?」
「そう、それが終わったら片づけをして後夜祭になる」
そうだ、後夜祭があったんだ。
って、なにやるの?
「参加は自由だけどな。毎年、花火と先生がお疲れ様ってことで、飲み物と軽い食事を提供してくれるんだよ。あとは、みんな文化祭の時の衣装着たりして写真撮影会とか……」
そう話しながら伊織の顔が暗くなる。
「どうしたの?」
「俺は、午前中の係りが終わったら衣装なんて二度と着ないけどな……」
遠い目をしている……。
明日の衣装って、どんななんだ?
「じゃぁ、後夜祭も一緒に過ごせるかな?」
ドキドキしながら聞くと、伊織は笑顔で振り返った。
「あぁ、もちろん。せっかくの文化祭、最後まで楽しもう」
「うん!」
やったー!
ミスコンの時は仕方ないけど、ほぼ伊織とずっと一緒に居られる。
私は嬉しくて笑顔が隠せないでいた。
「伊織ー、こっちも手伝って」
「おー」
伊織は脚立から降りるとそれを持って呼ばれた方に向かった。
すると、外から歓声やざわつきが聞こえた。
教室の窓から外を見ると、大勢の男子に囲まれた日葵ちゃんが笑って何かを話しているようだ。
「明日はぜひ、日葵に投票してね」
日葵ちゃんの声に男子が賛同している。
ファンクラブが出来ているって聞いたことがあるけど、本当なんだろうなぁ。
まぁ、あれだけ可愛いなら当然だろう。